『仮面ライダークウガ』(かめんライダークウガ)は、2000年(平成12年)1月30日から2001年(平成13年)1月21日まで、毎週日曜日8:00 - 8:30にテレビ朝日系で放送された、東映製作の特撮テレビドラマ・「仮面ライダーシリーズ」の1作品、もしくは作品中に登場するヒーローの名称。
製作局を毎日放送からテレビ朝日へ移しての第1作であり、この作品以降に制作された仮面ライダー作品は「平成仮面ライダーシリーズ」ともいわれる。数年前に「ウルトラシリーズ」が復活していたこともあり、大きな話題を呼んだ。漢字での表記は「空我」。
第1作から数えて15代目の仮面ライダー。モチーフはクワガタムシであり、東映側からの「漢字で書ける名前」との要求を受けて「クウガ」と命名されたとされている。以前のシリーズ作品では、基本的に初代仮面ライダーとの関連があったが[1]、本作ではその原則を廃し、まったく別の世界観の、古代文明との因縁を持つ戦士という設定が導入された(劇中で雄介達が「城南大学に本郷という人がいる」と話しているシーンもある)。そのため、劇中で仮面ライダーという言葉が出てくることはなく、主人公の五代雄介はじめ他の登場人物もその呼称を用いることはなかった(劇中では「クウガ」「4号」とのみ呼称)。つまり「それまでの仮面ライダーも悪の組織も存在しなかった」世界での物語である。そのため仮面ライダーTVシリーズ中、劇中「仮面ライダー」が設定上においても複数存在しなかった唯一の作品となっている。
また、テレビシリーズとしての前作『仮面ライダーBLACK RX』までの作品との大きな違いとして、「改造人間としての仮面ライダー」「地球の支配を第一目的とする悪の軍団」「敵怪人の配下である戦闘員」という設定が廃止されている点が挙げられる。医療技術の進歩により臓器移植手術などが多く行われるようになった情勢を考慮すれば「改造人間」を異形の者として描写することには現在では抵抗があり、東映側も放映前の新聞取材で「改造人間ということによる影を持った主人公にしたくない」ということで[2]、新たに「超古代文明の力で人体が進化を遂げた」という設定が導入された。また従来型組織形態の廃止は映画『仮面ライダーZO』に続く2作目、戦闘員の存在しない敵軍団[3]は『仮面ライダーBLACK』『仮面ライダーJ』に続く3作目となる。
『クウガ』は、現代の整合性を重視する気風に合わせるための綿密な考証がなされた。結果「敵のグロンギ族は独自の言語と文化を持つ」「クウガは警察と協力して敵殲滅にあたる」「技や武器を使用する際にその呼称を叫ばない」、などの設定が生まれた。また作劇においては(従来ではスポットの当たりにくかった)「回を追うごとの周囲の人々の変化」や(「お約束」として完全に無視を決め込まれた)「社会におけるヒーローと悪の存在の認知の過程」が描かれたり、特撮ヒーロー番組にも関わらず主人公がヒーローに変身しない話すら存在するなど人間ドラマを重視。演出面でもまったく新しい試みがなされている。
ドラマ性を重視したため、1話30分以内では1エピソードを満足に出来ないということで、前後編の「2話で1エピソード」というスタイルをとっている。1話完結や3話連続のエピソードも存在するが、基本的に先述のスタイルで一貫されている。このスタイルは以降の平成仮面ライダー作品にも引き継がれた。
リアリティ面を重視した結果、「1分にも満たずに、終了する戦闘シーン(必殺技を一撃使用したのみで終わることもある)」、「玩具も既に発売されているクウガの最強形態(アルティメットフォーム)が、最終回直前まで本編に登場しない(玩具は10月に既に発売されていたのに対し、本編での実質の初登場は翌年の1月。更に1、2分程度の登場時間であった)」、「終盤、スポンサーの玩具会社の担当者も知らなかった新形態(アメイジングマイティフォーム)がいきなり登場する」、「最終回ではAパートとBパートの間にCMを挟まず、一気にエンディングまで放送する」といった、従来の特撮番組では考えられなかった事態となった。
|